《陰陽・卜占》(おんよう・ぼくせん)

現代ではさすがに占いをまともに信ずる人は少ないが、決して知る事の出来ない未来に対して、僅かでもヒントを得ようとする人々の欲求は強く、易や占星術に限らず血液型や手相、顔相、あるいは趣味嗜好など人の行動のあらゆるモノが、占いの対象となっている。その傾向は精神医学やカウンセリングが未発達な地域や、社会が不安定な時代に多くみられる。我国では多分に「占い師」がカウンセラーの役を担っているため、他の文明諸国よりも盛んな傾向にある。

【占い】(うらない) 

卜(うらない)。卜占(ぼくせん)。占象(うらかた)によって神意を問い、未来の吉凶を判断・予想すること。(『広辞苑第二版』)

未来の出来事を知ろうとする欲求は、おそらく未来という概念を持った時から有ったと思われる。それが何時頃からか体系化され、占いを業とする者が現れ、神事・祭祀と結びつき陰陽師等に見られるような政事と密接に関係する役職もうまれる。昔時は亀の甲羅や動物の大腿骨を焼き、そこに現われる亀裂(占象)を読んで吉凶を判断した。現代では公の意思決定に「占い」が関与する事は考えられないが、戦国時代までは「占い」でその吉凶を判断し、行動していた。合理主義的な考え方の代表と云われる信長でさえ、今川義元との決戦となる桶狭間合戦の直前に、熱田の八幡社で戦勝祈願をして占った際、吉目が出るまで池に神文札を投げ入れたという話が伝わっている。

【占師】(うらないし) 

簒置(さんおき)とも。伝へ聞く、周易は伏羲にはじまり、これよりおこつて断易・三世相の法なり、日本にしては、賀茂の保憲天文道に達せし其の流れなりとも、又は伯道上人より安倍晴明相伝すといへり。都には所々に名人あり。俗語に手占・見通しなどゝて信仰する也。伊勢・近江・讃岐などに此の流れあつて諸国に出る也。中にも軽行きなるは、道のかたはら門のすみにうづくまりゐて、下輩の男女を相する也。判の占・五音調子の占、品々ありとかや」(『人倫訓蒙図彙』三)

「およそ占ひは土御門どの家にして、今の占ひする者みなこの門流たり。又修験の流れ山伏の家にも占ひをすれども、これは制の外なり。山伏は祈祷の家なれば、祈祷をたのむとて、人すぐに占ひをも頼みしが例となりて、おしなべて今の世には山伏が占ふ事となりぬ。みな末々の山伏の渡世のためにする事なるべし。天門新撰の八卦をみて、ヱ順ト逆をくり、毎月又は一代の守り本尊を立て、うそを取り交ぜ、似あわしく云ひ、人の気にかゝる事を云ひて、終りには祈祷をあつらへねばならぬやうに云ひ廻す。女童のだまさるゝは理り、歴々の鬚の生へた男が銭銀を取らるゝ事也」(『人倫重宝記』五の六)

(えき) 易経。易占。算木(さんぎ)と筮竹(ぜいちく)を用いて吉凶を判断する占法。中国に古く始まる。

【占星術】(せんせいじゅつ) astrology. 古代のバビロニア、ペルシャ、インド、サラセン、中国などに始まり、中世まで行われた一種の占卜。人生・社会の現象を天体、特に惑星の運行によって予言した。近世以前の天文学ともいわれる。 

【御神籤】(おみくじ) 御御籤。籤(くじ)。神仏に祈願して、事の吉凶をうらなうくじ。

吉凶を記した多くの串を匣または筒に入れて、小孔から取出してとる。多くの御神籤は、串に記された番号から、その番号と同じ番号が書かれた小箱から、籤札を取り出す。

現在では、寺社を訪れた際の戯れとして御神籤を引き、一時の話題として楽しむものとなっているが、戦国期には、戦をするかしないか、何時攻めるか等の作戦にも、御神籤の結果が用いられた。これは、生死を決するような重要な事柄ゆえに、神意を重んじたものといえる。

【籤】(くじ) 人選や運勢を占う際に紙縒りや竹串などを引いて神の意志を判断する神判の一種。『日本書紀』の有馬皇子がくじを引く記事が最も古い例とされる。「あみだくじ」というのは、放射状に作ったくじが、阿弥陀如来の光背に似ていることからついあ名とされる。

【陰陽道】(おんみょうどう) 

おんようどう。古代中国の陰陽(いんよう)五行説に基づいて、天文・暦数・卜筮・相地などをあつかう術。

大宝令に規定され陰陽寮がおかれたが、次第に俗信化したという。陰陽寮に関する用語の解説は、『官位』の項の「官職用語」解説にあるので参照ください。

【陰陽師】(おんみょうじ) 

令制で陰陽寮に属し、卜筮・相地などを司る職員。後には民間にあって、加持祈祷を業としていた。最近では安倍晴明を主人公とした小説や映画『陰陽師』で、その超能力的な面が強調され有名となった。

民間の陰陽師については、『宇治拾遺物語』(下)に法師陰陽師の逸話が収載されている。法師陰陽師とは僧形の陰陽師で、民間にあって僧侶でありながら加持祈祷を生業としていたとされる人々。また、この民間陰陽師は特に播磨国に多かったともいわれている。

中世職能民職種一覧にも「陰陽師」の項あり。

この陰陽師は山伏、密教僧などと共に加持祈祷を行って病を平癒する役目も担っていたが、それと同様な役割として西洋ではウィッチ・ドクター(呪医・呪術医)がいた。

【方違え】(かたたがえ) 

陰陽道の禁忌で祟り神などのいる方向を避ける事。目的地がその方向にある場合には、一旦別の方角に行き一泊し、翌日目的地へ向かう。『源氏物語』で光源氏が空蝉の家に寄ったのもこの「方違え」のため。

 

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